ジオテックゴルフコンポーネントは定期的に初心者のためのクラブ組立の講習会を開いている。現在、ゴルフクラブ組立のマニュアルは作られておらず、各店がそれぞれ工夫したやり方で行なっている状態だ。
その一方、ネットなどではパーツが簡単に売買されている。スタンダードな作業の手順が確立されていない状態で、勝手な組立法が横行するのは良い状況とは言えない。
同社はパーツ販売だけでなく、組立サービスも行なっている。また顧客にはクラブ競技やアマチュア公式戦に出場するレベルのゴルファーも少なくない。彼らが納得し、故障を起こすことがないように、丁寧なクラブ組立を行なっている。「超絶技」を競う組立ではなく、誰もが実行できて実用的な組立のマニュアルとして、以下にクラブ組立、シャフト交換、およびグリップ交換の手順をレポートする。
より良い方法についてアドバイスをいただける方にはぜひ編集部まで、お知らせいただきたい。より改善された標準マニュアル作りのために参考にさせていただきたいと思う。
初心者の方にはクラブ組立の入門編として、経験者には自分の方法との比較と確認のためご覧いただきたいと思う。
なお、講習会の場合は初心者対象のために時間が掛かっても安全確実な方法を採っている。今回のレポートでは一部ショップで能率的に作業を進めるための方法も併せて載せているので、若干内容が異なる部分もあるがご理解いただきたい。
必要なパーツ
クラブヘッド、シャフト、グリップ、ソケット、グリップ取り付け用面テープ、2液性接着剤(エポキシ/アクリル)
必要な工具
細い棒(割り箸等)、マーカー、デジタル秤、ポストイット、針金、金ヤスリ、布ヤスリ(200番)、高速カッター(又は金ノコ)、ルーラー、クラブ用接着剤(後で説明)、ガラスビーズ、ティッシュ、溶剤、定規、バランス計、バランス調整用真鍮棒、マスキングテープ、(できれば揃えたいもの)万力、床保護用鉄板または敷物等
01、事前の準備
組立はすべてのパーツと道具を揃えてから行なう。小さな部品でも足りないと作業は止まる。事前の準備は重要だ。
02、ホーゼル穴の深さを知る
パーツを揃えたらクラブヘッドのホーゼル穴をチェック。汚れていると接着剤が効かないので溶剤等で綺麗にしておく。さらに割り箸等で穴の深さをチェックする。この深さの分、シャフトがヘッド内に入る。
03、シャフトの接着長さを調べる
割り箸を抜き出してシャフトのチップ(ヘッド側端)に当てる。この分がヘッドに入る長さになる。この前に先端側をカットする設定のシャフトはカットしておく。各社のシャフトカット法を確認するのも大切な工程。
04、接着長さをマーキング
内部に入る部分をマークする。この部分は塗装膜を落とすので、マスキングテープなどでそれより上を保護。ヤスリ等で余分な長さまで塗料を落とさないようにする。
05、塗装膜を落とす
カーボンシャフトの塗装膜やスチールシャフトのメッキを落とす。スチールはいきなり布ヤスリで表面を落として良いが、カーボンは金ヤスリやカッターなどで樹脂を削らないように膜だけを落とす。いきなり布ヤスリを使うとシャフト本体を削ってしまいやすい。
06、仕上げは布ヤスリで
細かく残った膜は布ヤスリで削り落としても良い。他の項目でも触れるが最初に作業する前に、不要なクラブなどで実験してみるのもいい。カッターなどで塗装を落とすと塗装膜と本体の感触の違いが分かるが、布ヤスリの場合、楽々とシャフト本体を削るので気付きにくいのが分かるはず。
07、接着長さは3cm必要
塗装膜を落とした状態。膜が取れていればOK。表面はザラついているほうが良いとされる。接着長さは3cmはないと接着力不足になるので、長さもチェックしておこう。
08、作業を早めるにはベルトサンダーで
工房などではベルトサンダーで手早く塗装膜を落とす。能率的だが、使い慣れない内はシャフト自体を削ってしまいかねない。これも失敗しても良いシャフトで何度も練習してから本番に臨んだほうがいい。
09、ヘッドを差し込んでみる
マークした長さまできちんとホーゼル穴に入るかチェック。途中で支えるときは完全に削れていないので、シャフトをもう少し削り、きちんと奥まで入るのを確認。削りすぎに注意しながら行なう。
10、ソケット径をチェック
接着前にソケットを取り付ける。まずサイズをチェック。シャフト外径とソケット内径、ホーゼル外径とソケット外径を合わせる。ウッドではシャフト外径が8.5mmと9mmのものがあるので注意。アイアンは9.4mmが基本。外径はホーゼルよりほんの少し太くて可。ソケットのほうが細いのは、継ぎ目に段ができるので不可。
11、バランス調整用真鍮棒にも注意
ヘッド重量などをチェックし、バランス調整用真鍮棒などで使いそうな、長さを調整。ほんの0.5mm程度だがホーゼルに入るシャフトの長さが短くなるので、その分下にソケットを取り付ける。
12、シャフトに印をマークする
ホーゼルのすぐ上の位置を白いマーカーで書く。この前の段階でマスキングテープは取っておく。マークより上の位置にソケットを取り付けるので。
13、ソケットハンディツールで調整
ソケットハンディツールは事前に取り付け位置までソケットを取り付けられる器具。上のネジを調整して、取り付け位置までの長さを予め決めておける。便利な道具でとくに初心者にはお勧め。
14、取り付け位置までの長さに合わせる
ツールの下端がシャフトのマーク位置にくればOK。マークより少し(約1mm)下で合わせるのがコツ。深く入りすぎるホーゼルとの間に隙間ができてしまう。入れすぎを戻すもの非常に面倒。少し浅い場合はヘッドで押し込むこともできる。決して深く入れないこと。