リリース

 PCMが誕生した経緯

私が入社した1996年は、ジャンボ尾崎が生涯勝利101勝を記録した年で、当時のチタン製ドライバーヘッド体積が300cc、クラブ長さがようやく45インチになった時代でした。

全くゴルフを知らなかった私は、入社後数年間はゴルフを覚えることで必死でした。創業者、勝山の人脈の広さを活用してゴルフ関連の方々から多くのことを学びました。

中でも、弊社のメインスポンサーであるメーカーさんとの付き合いから徐々にギアに関心を持つようになり、特に私にとってギアの師匠はフリーライターだった故川田泰三氏です。非常にギアに関して造詣が深い方で、パーゴルフ発刊のチューンナップカタログやゴルフダイジェスト発刊のチョイスなど、専門性の高い記事を寄稿されていました。

ゴルフ用品総合カタログ「ゴルフ用語辞典」

1999年版ゴルフ用品総合カタログ」を出版するにあたり、「ゴルフ用品用語辞典」という今までに無かった文献を掲載しようと言うことになり、川田さんに執筆をお願いしました。この辞典を何度も読み返して文字校正するうちに自然と記憶されていきました。また、ほぼ毎日電話でお話をさせて頂いたり、週1回は食事を共にする機会を頂戴してギアに関することを学びました。

当時、アメリカにProfessional Clubmakers Society(通称、PCS)というクラフトマンの協会があり、全世界で約4,000名、日本でも数名の方が入会されていました。川田さんは何度かアメリカに行きPCSの取材をされたようで組織のあり方などを伺いました。当時、私は真剣にPCS JAPANを設立したいと川田さんと話し合っていました。でも、色々と考えた結果、自分達で企画して協会設立をやろうと決めて、「PCM」を発刊することにしたのです。

2011年に創刊号を発刊しましたが当時、私はクラブ組立やフィッティングに関しては素人だったので、自分が分からないことを川田さんにぶつけて、その答えを誌面で紹介する方法だったら色んな方々に読んで貰えると思いました。

と言うわけで、ゴルフ工房を開業するには免許も資格もなにも要らない。別に技術や知識が無くても看板上げればゴルフ工房が開業できる。だから、各人で客に伝える内容が違いすぎる。クラフトマンやクラブフィッターとして最低限の基礎とは何?を聞いても様々な答えがある。

 

このような状況を何とか改善したい!

出来れば認定制度を構築して開業前に勉強できる環境を構築したい! 顧客に信頼されるサービス精神を心得た店主を生み出したい! などなど志だけは高く持とうと誓いました。

ゴルフクラブを知るようになると様々な疑問が沸いてきました。

Q.フレックスでどこの硬さが変わるのか?

Q.重心距離が短いヘッドは捕まると言うけど基準位置はどこ?

Q.クラブは長い方が飛ぶは本当?

Q.スイングウエイトはヘッドの効き具合のことなの?

Q.クラブの硬さは振動数で分かるの?

Q.弾道計測器だけでフィッティングできるの?

Q.ドライバー変えたら他のクラブに影響しないの?

Q.パターイップスは練習だけで治るの?

Q.毎年、いろんなクラブが出るけど何を基準に選べばいいの?

Q.フェースが被っているヘッドはドロー系が出やすいの?

 

まあ、書き上げたらどんどん出てくるのでこの辺でやめますが、この素朴な疑問に納得する答えを全国のゴルフ工房店主やショップ店員は教えてくれるのだろうか? ご存じの通りいろんな答えがあり堂々巡りします。

そこで「PCM」を続けて発刊する上で、ゴルフクラブのスペックや表現内容にかなり不信があることが分かりました。

と言うわけで、ゴルフクラブのルールを司るR&Aのクラブ計測法を調べて、ゴルフクラブやヘッドパーツ、シャフト単体、グリップ単体などをコツコツと統一計測することを決断し、この10年でシャフト、ヘッドそれぞれ数千種類のデータベースを構築できました。

計測するにつれて

コツコツ計測をしていると、もっと知りたい要素が出てきて計測器を導入する。知らず知らずのうちにクラブメーカーの開発室より計測器が揃うことになりました。

ゴルフクラブの計測を通じて、人間がスイング中に感じるフィーリングとのマッチングを試しましたが、人それぞれ感じるポイントも違うし、感じ方も違うことが判明しました。

そこで、スイングを計測する計測器を探していたとこころ、「GEARS」というアメリカ製スイング解析器があることを知り、販売代理店のノビテックのショールームにおじゃましました。専用のスーツを着てマーカーという発信器みたいなものを身体に貼り付けて、いざスイング。なんと!アドレスからフィニッシュまで千分の一秒の間隔で身体やクラブの動きが鮮明にモニターに可視化できるのです。

特に注目したのがゴルフクラブの挙動でフェースの向き、グリップの軌道と速度、ヘッドの軌道と速度に加えて加速度も分かります。

新たな検証へ

20176月、「GEARS」導入を決意して物件探しを始めます。当時のオフィスは神田淡路町で大変気に入っていたのですが、天井高が低くドライバーが振れないため「GEARS」を配置できなかったのです。約300件、都内の事務所、倉庫、店舗などを探しましたが希望に添える物件がない。昨年末まで借りていた文京区大塚のオフィスは地下と1階の2フロアで広いのですが、ドライバーを振り回す天井高がない。そこで、オーナーさんに1階の床面の一部を取り外せるなら借りたいと申し出たところ快く承諾を頂いた。その年の12月に入居し、試打席を設けて「GEARS」を設置しました。

ここからが、ゴルフクラブの統一計測データ(静的データ)とスイング時のクラブ挙動(動的データ)のマッチング検証が始まりました。当時、世界でこのような検証をして可視化しようとした人は誰もいなかったと思います。実は現在でもいないのです。

PCMラボから「クラブPCM」へ

PCM」で検証結果を発表したことで、世界のプロコーチ100選に選ばれた井上透コーチから連絡を頂き、「自分が見ているプロや生徒のギア診断をやってほしい」と頼まれ、最初に来られたのが成田美寿々プロで、その後蒼々たるプロ達がギア診断に来られました。

GEARS」は、目視で判断できないことを正確に可視化してくれるので、重宝するデータ満載なのですが、データ量が多すぎて困ることもあります。

このように、一介のゴルフ編集部が様々な計測器を導入して真剣にフィッティングを追求しています。これにより、現在行われているフィッティングが間違っていることも多々発見できました。散々、「PCM」で啓蒙する記事を寄稿しましたが理解しようとするゴルフ工房は少なかったです。

そこで、編集部でミーティングを重ねたところ、「我々が計測・検証・実験してきたことは一般ゴルファーが最も知りたいことだと思う。なので、一般ゴルファーに直接伝えられる一般誌に改訂しましょう」ということで、2021年から発刊する「PCM」は「クラブPCM」に媒体名を変えて一般誌に改訂いたします。

 

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